OpenRouterの性能×入力価格比較 – Kimi K3は本当に高コスパか?


※ 本記事は2026年7月18日時点の情報です。モデル、スコア、料金、提供状況は短期間で変わる可能性があります。
OpenRouterのBenchmarksには、LLMの性能と入力価格を比較できるグラフがあります。今回注目したのは、Artificial Analysis Intelligence Indexと、重み付き平均入力価格の関係です。
パレートフロンティア上には6つのモデルが並んでいます。その中で特に目を引くのがKimi K3です。Claude Fable 5やGPT-5.6 Sol Maxに近いスコアを示しながら、グラフ上では大幅に低価格側に位置しています。
ただし、このグラフが比較しているのは「総合ベンチマークスコア」と「重み付き平均入力価格」の2軸です。出力価格、速度、得意分野、コンテキスト長、ツール対応などを含めた総合的な優劣ではありません。その前提で、現在のLLM勢力図を見ていきます。
Kimi K3 に注目
- Kimi K3のIntelligence Indexは57.1で、上位2モデルに近い。
- 一方、重み付き平均入力価格は上位2モデルより低い位置にある。
- この2軸だけで見ると、性能と入力価格のバランスが目立つ。
- ただし、用途ごとの品質や出力価格まで含めた「万能な最適解」を意味するものではない。
グラフの見方
Artificial Analysis Intelligence Index
数学、科学、コーディング、推論など、複数の評価を統合した総合ベンチマークです。数値が高いほど、この指標上では高い能力を示します。評価内容やバージョンは更新されるため、スコアを見る際は計測日も重要です。
Weighted Avg Input Price
横軸は、100万トークンあたりの重み付き平均入力価格です。右へ行くほど入力価格が高く、左へ行くほど安くなります。
これは入力価格の比較であり、出力価格やキャッシュ価格を含む総利用コストそのものではありません。
Show Pareto
パレートフロンティアは、このグラフで採用された「性能」と「入力価格」の2軸において、他のモデルに単純には支配されない選択肢を結んだ線です。
線より下にあるモデルにも、速度、出力品質、得意分野、コンテキスト長、ツール対応、安定性などで選ぶ理由があります。「線より下だから割高」と一律に判断できるものではありません。
データの取得方法については、OpenRouterのBenchmarks APIドキュメントも参照してください。
パレートフロンティア上の6モデル
Intelligence Indexの高い順に並べると、次のとおりです。
| 順位 | モデル | Index | グラフ上の読み取り |
|---|---|---|---|
| 1 | Claude Fable 5 | 59.9 | 最高スコア・最高価格側 |
| 2 | GPT-5.6 Sol Max | 58.9 | 高性能・高価格側 |
| 3 | Kimi K3 | 57.1 | 上位に近い性能・低価格側 |
| 4 | GPT-5.6 Luna | 51.2 | 中位性能・低価格側 |
| 5 | GLM-5.2 Max | 51.1 | 中位性能・低価格側 |
| 6 | MiniMax M3 | 44.4 | 最安側のフロンティア |
価格の正確な値はグラフ上の各点のツールチップで確認する必要があります。点の位置から数値を推測せず、閲覧時点の表示を確認してください。
各モデルの所感
1.Claude Fable 5
6モデルの中では、Intelligence Indexと入力価格の両方が最も高い位置です。

画像に表示されているモデルは「Adaptive Reasoning, Max Effort, Opus 4.8 Fallback」という条件付きです。また、Artificial AnalysisはFable 5について、首位のスコアを示しつつ、記事執筆時点では利用できないモデルとして説明しています。通常利用できる単一モデルと単純比較しないよう注意が必要です。
参照:Artificial Analysis Intelligence Index v4.1
2.GPT-5.6 Sol Max
私の体感としても、高性能モデルとして妥当な位置に見えます。Fable 5に近いスコアですが、入力価格も高価格側です。
3.Kimi K3
今回、最も注目したモデルです。
Intelligence Indexは57.1で、Claude Fable 5の59.9、GPT-5.6 Sol Maxの58.9に近い位置です。それでいて、グラフ上の重み付き平均入力価格は大幅に低い位置にあります。
少なくとも、このベンチマークと入力価格の2軸では、Kimi K3はダークホースと呼びたくなる存在です。
Moonshot AI
Kimiを開発する、中国・北京発の民間AIスタートアップです。中国語名は「北京月之暗面科技有限公司」です。
4.GPT-5.6 Luna
低コスト側での役割が期待されるモデルですが、このグラフの2軸では、Kimi K3より低いスコアに位置しています。
ただし、LLMには得意な作業と不得意な作業があり、総合スコアだけで用途ごとの優劣は決められません。
5.GLM-5.2 Max
GLMシリーズも大きな話題になりました。グラフではGPT-5.6 Lunaに近いスコアで、低価格側のパレートフロンティアに位置しています。
Z.ai
中国のAI企業「智譜AI(Zhipu AI/ジープーAI)」の国際向けブランドです。
6.MiniMax M3
6モデルの中ではスコアが最も低い一方、最も低価格側のパレートフロンティアを構成しています。性能の絶対値ではなく、価格を最優先する用途で候補になり得ます。
MiniMax
中国・上海発の基盤モデル開発会社です。
ベンチマークだけでは決められない
このグラフは、モデル選びの有力な出発点です。しかし、実際の用途では次の条件も確認する必要があります。
- 出力価格とキャッシュ価格
- 応答速度と安定性
- コーディング、日本語、長文、ツール利用など用途別の品質
- コンテキスト長
- 構造化出力やFunction Callingへの対応
- 提供地域、利用規約、データの取り扱い
総合ベンチマークが高くても、自分の業務で最も使いやすいとは限りません。最終的には、候補を絞ったうえで、実際のプロンプトとデータを使って比較するのが確実です。
まとめ
2026年7月18日時点のOpenRouter Benchmarksでは、Claude Fable 5とGPT-5.6 Sol Maxが最高性能帯に位置しています。一方、Kimi K3はそれらに近いIntelligence Indexを、より低い重み付き平均入力価格で示しています。
この2軸で見る限り、Kimi K3は高いコストパフォーマンスが期待できるモデルです。ただし、ベンチマークや価格はすぐに更新されます。モデル名だけで結論を固定せず、用途ごとの実測と最新情報を合わせて判断したいところです。
参考:Kimiのサブスクリプション
最後に、Kimi公式サービスを直接利用する場合のサブスクリプションを整理します。これはOpenRouter上のAPI入力価格とは別の料金体系です。
| プラン | 月払い | Kimi Code枠 |
|---|---|---|
| Adagio | 無料 | なし |
| Moderato | $19/月 | 1倍 |
| Allegretto | $39/月 | 5倍 |
| Allegro | $99/月 | 15倍 |
| Vivace | $199/月 | 30倍 |
上記は月払い価格です。年払いでは月額換算が安くなります。また、各プランのクレジットや機能は変更される可能性があるため、契約前に公式ページを確認してください。
